「20代でタクシー運転手に転職するのは早いのだろうか」「若いうちに選んで後悔しないだろうか」と迷っている方もいるのではないだろうか。
20代でのタクシー運転手への転職は、収入面や働き方の面で魅力を感じる一方、周囲に同年代が少ないことや、将来のキャリアが見えにくいことが不安材料になりやすいテーマだ。
この記事では「早い・遅い」を断定するのではなく、公的な資料や制度から、20代ならではの判断材料を整理する。

20代でタクシーは早いか。その答えを決めるのは、周りの声ではなく、数字と制度だ。
- タクシー運転手のうち20代がどれくらいの割合なのか、公的な統計で見た現状
- 20代ならではのメリット・デメリットと、二種免許・個人タクシーの年齢別の条件
- 自分に当てはまるかを判断する軸と、会社を選ぶときの確認ポイント
1.20代でタクシー運転手に転職する人は、実際どれくらいいるのか
20代でタクシー運転手への転職を考えるなら、まず業界の年齢構成を数字で確認しておきたい。ここでは国会の調査資料をもとに、運転者全体の年齢と、20代の運転者がどれくらいいるのかを見ていく。
運転者の平均年齢は全産業より約16歳高い
参議院調査室が発行する『立法と調査』(2024年6月、No.467)は、全国ハイヤー・タクシー連合会(ハイタク連合)の統計をもとに、タクシー運転者の平均年齢を令和5年(2023年)で59.7歳と紹介している。
全産業の労働者の平均年齢は43.9歳で、差は15.8歳だ。
タクシー業界は全体として高齢の運転者が多い職場であり、20代で転職する場合は、この年齢構成の中に入っていくことになる。
仕事の内容とは別に、職場の雰囲気や人間関係に影響しうる要素として、頭に入れておくと判断しやすい。
出典:参議院常任委員会調査室・特別調査室『立法と調査』2024年6月 No.467「タクシー輸送の担い手の確保とその在り方」
20代の運転者は全体の約2%(令和5年3月末時点)
では、20代の運転者は実際に何人いるのだろうか。年齢階層別の人数と、20代が全体に占める割合を順に確認する。
年齢階層別の運転者数
同じ資料に掲載されているハイタク連合の集計(令和5年3月末時点)によると、運転者の合計231,938人のうち、44歳以下の年齢階層別の人数は次のとおりだ。
| 年齢階層 | 運転者数(令和5年3月末) |
|---|---|
| 25歳未満 | 1,535人 |
| 25〜29歳 | 3,276人 |
| 30〜34歳 | 3,617人 |
| 35〜39歳 | 4,679人 |
| 40〜44歳 | 7,142人 |
| 合計(全年齢) | 231,938人 |
20代が全体に占める割合と、集計の注意点
ここでは、25歳未満と25〜29歳の合計を、おおむね20代として見ていく(25歳未満には19歳以下も含まれうる)。
2階層を合わせると4,811人で、全体の約2.1%にあたる(資料の人数をもとにした本記事での計算値)。44歳以下をすべて合計しても約2万人で、全体の1割に届かない。
なお、この人数は法人タクシーの運転者に交付される運転者証の数をもとにした集計で、個人タクシーの事業者は含まれていない。令和5年3月末時点のデータであり、その後の数値は変わっている可能性がある。
数は少ないが、若年層はわずかに増えている
「20代のタクシー運転手が急増している」という表現を目にすることがあるが、人数で確認すると実態はやや異なる。
同じ資料の推移では、令和2年3月末から令和5年3月末にかけて、25歳未満は1,194人から1,535人に増えた一方、25〜29歳は3,334人から3,276人とほぼ横ばいだ。
運転者全体は同じ期間に282,168人から231,938人へと大きく減ったため、20代が占める割合は約1.6%から約2.1%へとわずかに上がった(いずれも本記事での計算値)。
資料も、若年層に就労を有利と見て希望する人が出てきているとしつつ、高齢層の退職を埋めるには十分な人数ではないと述べている。
「少数派だが、わずかに増えている」と捉えるのが、統計に沿った見方といえる。
「少数派」であることが、働き方にどう影響するか
20代は運転者全体の約2%にとどまるため、中途入社では同年代の同僚がほとんどおらず、周りが年上ばかりになる可能性が高い。年上の同僚から仕事のコツや経験談を聞ける環境と捉えられるかどうかで、感じ方は変わってくる。
乗務中は基本的に一人だが、出庫前後の点呼や営業所での時間など、同僚と接する場面はある。若手の在籍状況は会社や営業所によって異なる。
同年代の仲間と働きたい方は、応募前に営業所を見学し、若手がどれくらい在籍しているかを会社に質問しておくと、入社後のずれを減らせる。
2.20代でタクシー運転手になるメリット
20代でタクシー運転手になるメリットは、報酬の仕組み、働き方、デジタルツールとの相性の3つに整理できる。ただし、いずれも会社や勤務形態によって度合いが変わる点を前提に見ていきたい。
年功に左右されにくい報酬構造
参議院の資料は、男性のタクシー運転者と全産業の男性労働者の年間所得を年齢階層別に比較している。
それによると、40〜44歳までの階層では、タクシー運転者は全産業の労働者と遜色のない年収を確保している。
資料はその理由として、全産業では給与や賞与に年功による上乗せが反映される一方、歩合制が適用されるタクシー運転者にはそれがほとんどないためと説明している。
20代に限った分析ではないが、若いことが賃金面の不利になりにくい仕組みといえる。
実際の収入は会社の賃金制度や勤務形態、地域で大きく異なるため、具体的な金額は応募先ごとに確認したい。
出典:参議院常任委員会調査室・特別調査室『立法と調査』2024年6月 No.467「タクシー輸送の担い手の確保とその在り方」
一人で働ける環境と、まとまった自由時間
乗務中の大半を一人で過ごす働き方と、隔日勤務で生まれるまとまった時間は、20代の時間の使い方に関わるメリットだ。2つに分けて見ていく。
人間関係の負担を抑えやすい
職場の人間関係に悩んで転職を考えている20代にとっては、乗務中は一人で仕事ができる点が魅力になる場合がある。
ただし、一人で過ごす時間が長いことは、孤独を感じやすいという側面も持っている。人間関係の悩みが減ることと、人との関わりが少なくなることは表裏一体だ。
自分がどちらを重く感じるかを、あらかじめ考えておくとよい。
隔日勤務の「明け」と休日を活用しやすい
勤務形態の一つに、1回の乗務時間が長い代わりに、乗務の翌日が「明け(非番)」になる隔日勤務がある。明けは乗務後の休息にあてる日で、休日(公休)とは別に扱われる。
明けと休日が続くと自由に使える時間がまとまりやすく、平日の昼間に用事を済ませたり、学習や趣味の時間にあてたりしやすいといわれている。
体力に余裕のある20代のうちに、こうした時間を資格の勉強や副業の準備にあてる人もいる。
ただし、長時間の乗務のあとに必要な休息には個人差があり、休日数や拘束時間も会社や勤務形態によって異なる。「休みが多い」という点だけで判断せず、実際の勤務表で確認しておきたい。
配車アプリなどデジタルツールへの適応
配車アプリやキャッシュレス決済など、デジタルツールの導入状況は会社によって異なる。アプリを使った営業にどれくらい力を入れているかは、応募前に確認しておきたいポイントだ。
スマートフォンやアプリの操作に慣れているかどうかは人によって違う。使い慣れている方は新しい仕組みに戸惑いにくい場合もあるが、それが強みになるかどうかは、働く会社の環境次第といえる。
3.20代でタクシー運転手になるデメリットと注意点
メリットの裏側には、20代のうちから知っておきたい注意点もある。ここでは報酬構造、収入の変動、体への負担、「若いうちだけタクシー」という働き方の現実の4つの観点から整理する。
年功がないことの裏返し(45歳以降で差が開く)
年功のない報酬構造には、裏の側面もある。
参議院の資料では、40〜44歳までは全産業と遜色のない年収を確保するものの、45〜59歳の階層では全産業の男性労働者との間に大きな差が付くと述べている。
全産業では年齢とともに給与が上乗せされていく一方、歩合制の運転者にはそれがほとんどないためだ。
20代で入社しても、年齢を重ねるにつれて賃金が自動的に上がっていくとは限らない。
何歳まで乗務を続けたいのか、その後はどうしたいのかを早めに考えておくと、判断しやすくなる。
出典:参議院常任委員会調査室・特別調査室『立法と調査』2024年6月 No.467「タクシー輸送の担い手の確保とその在り方」
歩合制による収入の変動
歩合制の収入は、売上の増減に加え、入社直後の慣れの度合いにも左右される。仕組みと、入社直後に起きやすいつまずきを分けて確認しておきたい。
売上によって収入が変わる仕組み
タクシーの給与は歩合制を基本とする会社が多く、売上によって収入が変わる。季節や天候、体調不良による欠勤などの影響も受けやすい。
一人暮らしや奨学金の返済など、毎月の固定費がある20代は、収入が下振れしたときの備えも含めて検討しておくと安心だ。
入社直後の収入で起きやすいつまずき
当社の転職支援者によると、タクシー会社への転職後のフォロー面談では「思った以上に稼げない」「給与保証が入らない」という相談が多い。
給与保証には「〇か月間限定」「勤務日数〇日以上」などの適用条件があるケースが多く、入社直後は土地勘や配車アプリの使い方、稼げる時間帯やエリアの把握に時間がかかるため、最初の1〜2か月は稼働率が上がりにくいという。
年功による上乗せがほとんどない仕組みは、20代が年齢で不利になりにくい一方で、経験の浅さがそのまま売上に表れやすいともいえる。
給与保証の条件と期間、保証が終わったあとの収入の見通しは、入社前に確認しておきたい。
不規則な勤務と長時間乗務による体への負担
隔日勤務や夜間の勤務は、生活リズムが不規則になりやすい働き方だ。長時間座りっぱなしになることから、腰痛や睡眠不足、運動不足などの健康面の負担を挙げる声もある。
20代は体力に余裕があると考えられがちだが、長く続けるうえでは、体調管理をどれだけ意識できるかが重要になる。
日勤のみなど、勤務形態を選べる会社もあるため、自分の生活スタイルに合う働き方を選べるかどうかも確認しておきたい。
「若いうちだけタクシー」という働き方は広がっていない
参議院の資料は、若いうちはタクシーで働き、中高年までに年功で賃金が上がる他の産業へ移れば、生涯の賃金面で有利になるとも考えられると述べている。
ただし、実際にそうした働き方をするのは難しいとの見方を示しており、その理由として、こうした働き方が広がっているなら若年層の運転者が増えるはずだが、44歳以下を合計しても全体の1割に満たない点を挙げている。
これは、個人が他業界へ転職できないという意味ではない。将来ほかの仕事に移る可能性があるなら、乗務中の経験を説明できるように備えておくことが大切だ(6章で紹介する)。
出典:参議院常任委員会調査室・特別調査室『立法と調査』2024年6月 No.467「タクシー輸送の担い手の確保とその在り方」
4.20代の転職で確認したい二種免許の受験資格
タクシー運転手として乗務するには、第二種運転免許(二種免許)が欠かせない。20代前半の場合は通常の受験資格に届いていないこともあるため、通常の要件と特例の両方を確認しておきたい。
通常の受験資格は「21歳以上・普通免許等3年以上」
警視庁の案内によると、第二種免許の受験資格の基本は、21歳以上であり、普通免許などを受けていた期間が通算して3年以上あることだ。
他の二種免許をすでに持っている場合は、この期間の要件を満たす扱いになる。このほか、視力や聴力、深視力の基準も定められている。
この要件に沿うと、普通免許を取得してから3年が経っていない20代前半の方は、そのままでは受験できない。ただし、次に紹介する特例がある。
特例教習を修了すれば「19歳以上・免許保有1年以上」で受験できる
警察庁は、令和4年5月13日付の案内で、第二種免許等の受験資格の見直しを紹介している。
特別な教習を修了すると、19歳以上であり、かつ普通免許等を受けていた期間が通算して1年以上あれば、第二種免許の運転免許試験を受けられる。
教習には、年齢要件を19歳以上に引き下げるための教習(旅客自動車の運転に必要な適性に関する、座学や実車を含む7時限以上)と、経験年数の要件を普通免許等の保有1年以上に引き下げるための教習(危険予測や回避能力に関する、座学や実車を含む29時限以上)がある。
実施している教習所は、都道府県警察の窓口に問い合わせるよう案内されている。
特例で取得すると「若年運転者期間」の制約がつく
年齢要件の特例を受けて二種免許を取得した場合、本来の受験資格の年齢(第二種免許は21歳)に達するまでの間は「若年運転者期間」になる。
この期間中は、違反に関する特別なルールが適用される。講習の義務と、免許取消しの条件を順に見ていく。
若年運転者講習が義務付けられる条件
警察庁の案内では、若年運転者期間中に違反行為をして合計点数が3点以上になった場合(1回の違反行為で3点となった場合は除く)、若年運転者講習(9時間)の受講が義務付けられるとされている。
講習を受けなかった場合などの免許取消し
講習の通知を受けたのに受講しなかった場合は、特例を受けて取得した免許が取り消される。
講習を終えたあとに、再び若年運転者期間内の違反で合計3点以上になった場合も取消しの対象だ。
特例を使って早く二種免許を取得する方は、乗務を始める前から、違反をしない運転がより強く求められる点を理解しておきたい。
20代前半の人が事前に確認したいこと
20代前半で二種免許の取得を考えている方は、まず普通免許の取得時期から、通常の受験資格を満たしているかを確認する。
満たしていない場合は、特例教習を受けられる教習所があるかを、都道府県警察の窓口などで問い合わせるとよい。
タクシー会社によっては、入社後に二種免許の取得を支援する制度を設けているところもある。
ただし、受験資格を満たしていることが前提になるため、応募の時点で自分がどの段階にあるのかを会社に相談しておくと、入社時期や段取りの見通しが立てやすくなる。
出典:警視庁「大型二種・中型二種・普通二種免許試験(直接試験場で受験される方)」・「第二種免許等の受験資格の見直しについて(令和4年5月13日)」
二種免許の取得時期や取得支援の有無も含めて、応募先の条件を相談しながら探したい人は、転職支援サービスを利用する方法もある。
一人で転職活動を進めるのに迷ったら、ドライバー専門の転職エージェントを頼ってみるのも一つの手だ。
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5.20代ならではの「タクシー運転手向き不向き」の判断軸
タクシー運転手に向いているかどうかを、運転が好きか、接客が苦にならないかといった一般的な特徴だけで考えると、20代ならではの視点が抜け落ちてしまう。
ここでは、20代だからこそ確認しておきたい軸を3つ挙げる。
同年代がほとんどいない職場でやっていけるか
1つ目は、同年代がほとんどいない環境で、年上の同僚や乗客と日常的に関わっていけるかどうかだ。20代は運転者全体の約2%と少数派だ。
年上の人との会話を楽しめる、あるいは気にならないという方は、この環境に適応しやすいと考えられる。
一方、同年代の仲間と刺激し合いながら働きたい方は、若手が多い会社や営業所を選ぶなど、工夫が必要になる。
年功のない歩合制を自分で管理できるか
2つ目は、成果が収入に反映される仕組みの中で、自分の働き方を自分で管理できるかどうかだ。
年功による昇給が期待しにくい分、働く時間帯や営業の工夫が収入に影響しやすい。
誰かに指示されて動くより、自分で考えて動くほうが性に合う方には、向いている面がある。
逆に、安定した固定給を重視したい方や、収入の波に強い不安を感じる方は、歩合の割合が小さい会社や、給与保証のある会社を選ぶなどの工夫が必要になる。
毎月の生活費が収入の下振れに耐えられるかも、あわせて考えておきたい。
体力と生活リズムを、長く維持できるか
3つ目は、体力と生活リズムを長く維持できるかどうかだ。大切なのは、いま体力があるかではなく、自分の体調を管理しながら続けられるかどうかだ。次のような問いを、自分に当てはめてみてほしい。
- 年上の同僚や乗客との会話を、負担に感じずに続けられそうか
- 収入が月によって変わっても、生活を組み立てていけそうか
- 睡眠や食事、運動を自分で整える習慣をつくれそうか
すべてに当てはまる必要はなく、当てはまらない点は勤務形態や会社の選び方で補える場合がある。
迷ったときは、営業所の見学や、現役ドライバーの話を聞く機会を探すのも一つの方法だ。
6.タクシー運転手30代以降のキャリアの見通し
20代で入社すると、その後のキャリアをどう描くかが大きな判断材料になる。ここでは個人タクシーとしての独立、乗務以外の道や他業界への転職、働く年数の決め方の3つを見ていく。
個人タクシーという選択肢と、若いほど厳しい運転経歴要件
個人タクシーとして独立する道はあるが、「20代で始めれば30代前半で独立できる」と単純にはいえない。
関東運輸局が公示している個人タクシー事業の許可の審査基準(令和8年2月17日一部改正)では、申請時の年齢に応じて運転経歴の要件が定められている。
申請時に35歳未満の場合
35歳未満で申請する場合は、次の2つをどちらも満たす必要がある。
- 開業したい地域(営業区域)で、同じタクシー会社またはハイヤー会社に、申請日まで10年以上続けて運転者として勤めている
- 申請日までの10年間、無事故無違反である
途中で会社を変えたり、別の地域へ移ったりすると、条件を満たせなくなる点に注意したい。
申請時に35歳以上40歳未満の場合
35歳以上40歳未満で申請する場合は、主に次の条件がある。
- 開業したい地域で、運転を仕事にしていた期間が合計10年以上ある(トラックなど、お客を乗せる事業以外の運転期間は半分として数える)
- そのうち、タクシー・ハイヤーの運転が5年以上ある
- 開業したい地域で、申請日まで3年以上続けてタクシー・ハイヤーの運転を仕事にしている
ただし、申請日までの10年間が無事故無違反であれば、より条件の緩い40歳以上65歳未満の基準で申請することもできる。
この基準では、運転を仕事にしていた期間が直近25年のうち10年以上あり、開業したい地域で直近3年以内に2年以上タクシー・ハイヤーの運転を仕事にしていれば足りる。
若い年代ほど要件が重くなる点に注意
この基準は関東運輸局の管内を対象にしたもので、他の地域の取り扱いは申請先の運輸局で確認する必要がある。
参議院の資料も、39歳以下の個人タクシー事業者はほとんどいないと述べている。
個人タクシーを目指す場合は、同じ会社で長く勤めることと、無事故無違反を続けることが、若いほど重く求められる点を念頭に置いておきたい。
出典:関東運輸局「個人タクシー事業の許可及び譲渡譲受認可申請事案の審査基準について」の一部改正について(令和8年2月17日公示)
出典:参議院常任委員会調査室・特別調査室『立法と調査』2024年6月 No.467「タクシー輸送の担い手の確保とその在り方」
乗務以外の道や、他業界へ移る場合の考え方
乗務以外の道や、他業界へ移る場合の考え方
タクシー会社の中には、乗務以外の職種に移る道を用意しているところもある。ただし、どの職種にどのような条件で移れるかは会社によって大きく異なる。
将来、乗務以外の仕事にも関心がある場合は、応募の段階で異動の実績や条件を確認しておくと、入社後のキャリアを描きやすくなる。
他業界に移る場合は、接客や安全運転の経験、売上を意識して動いた経験などを、数字や具体的な行動で説明できるようにしておくと伝わりやすい。入社した時点から記録を残しておくとよい。
何年働くかを先に決めておく
ここまで見てきたように、20代のタクシー転職には次の3つの特徴がある。
- 職場に同年代が少ない
- 年齢を重ねても給与が上がりにくい
- 若いほど個人タクシーの申請条件が厳しい
だからこそ、入社前に「何年くらい乗務を続けるか」「その間に何を身につけ、次に何をするか」を決めておくと、後悔しにくくなる。
数年間は収入を確保しながら資格の勉強や貯蓄に取り組む、長く乗務を続けて個人タクシーを目指すなど、目的によって会社選びや働き方は変わる。
時間軸は入社後に見直しても構わない。まずは現時点での見通しを言葉にしておくと、判断がぶれにくくなる。
7.20代が転職先のタクシー会社を選ぶときの確認ポイント
当社の転職支援者によると、ドライバー職の早期離職で最も大きいのは「聞いていた話と違う」というギャップで、給与だけでなく残業時間や実際の拘束時間、仕事の大変さ、人間関係も含まれる。
入社後のずれを減らすために、応募前に確認しておきたいポイントを次の表にまとめた。面接や会社説明会、営業所の見学の際に活用してほしい。
| 確認ポイント | 確認すること |
|---|---|
| 研修・同乗指導 | ・座学の期間と、同乗指導の有無・日数 ・独り立ちの時期をどのように判断するか ・道に不慣れなうちに相談できる先輩がいるか |
| 給与保証・歩合 | ・給与保証の有無・金額・期間 ・給与保証の適用条件(勤務日数など)と、満たせなかった場合の扱い ・保証終了後の歩合率、経費負担、売上が一定額に届かない場合の扱い ・条件を書面で確認できるか |
| 勤務形態 | ・選べる勤務形態(隔日勤務・日勤・夜勤など) ・入社後に勤務形態を相談・変更できるか |
| 若手・キャリアパス | ・配属予定の営業所に、近い世代の運転者がどれくらいいるか ・乗務以外の職種への異動や、個人タクシーに向けた支援があるか |
なかでも若手の在籍状況は、会社全体ではなく配属予定の営業所単位で確認しておきたい。
同転職支援者によると、同じ会社でも営業所によって所長や配車担当、教育担当が異なり、雰囲気や働きやすさが変わるケースは実際にあるという。
給与保証や研修、配属予定の営業所の雰囲気まで含めて会社を比べたい人は、転職支援サービスに相談しながら探すのも一つの方法だ。
一人で転職活動を進めるのに迷ったら、ドライバー専門の転職エージェントを頼ってみるのも一つの手だ。
ドライバー業界特有の慣習や各社の実態に詳しい専任のエージェントが、転職活動をサポートしてくれる。
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8.タクシー運転手は「最後にやる仕事」と言われる不安との向き合い方
家族や友人から「タクシー運転手は最後にやる仕事」と言われて、迷っている方もいるかもしれない。ここでは周囲の見方と実際の働き方のずれ、そして判断を人任せにしないための整理のしかたを見ていく。
周囲の見方と、実際の働き方のずれ
こうした見方が出てくる背景の一つには、運転者の平均年齢が高いという現状があるのかもしれない。統計でも、運転者の多くが高い年齢層に偏っていることは事実だ。
一方で、前述のとおり若年層はわずかながら増えており、周囲の見方が、いまの20代の働き方や選択理由とずれている場合もある。
反対されたときは、自分がなぜその仕事を選ぶのかという理由と、整理した見通しを具体的に説明できる状態にしておくと、伝わりやすくなる。
判断を人任せにしないための整理のしかた
「やめとけ」という声も「おすすめ」という声も、それぞれの立場や経験に基づいたものだ。
大切なのは、他人の評価ではなく、自分に当てはまる条件を一つずつ確かめることだ。次のように分けてみるとよい。
- 事実として確認できること(運転者の年齢構成、二種免許の受験資格、個人タクシーの要件など)
- 会社によって異なり、自分で確認が必要なこと(給与保証、勤務形態、研修内容、若手の在籍状況など)
- 自分の価値観で決めること(収入と時間のバランス、働く環境、何年続けたいか)
このように分けると、「あり」か「なし」かを一言で決めるのではなく、自分にとっての条件が整理できる。
9.20代のタクシー運転手転職に関するよくある質問
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タクシー運転手の年収は、全体でどれくらいですか?
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厚生労働省のjob tagによると、タクシー運転手の年収は20〜24歳で483.36万円、25〜29歳で482.87万円だ。全年齢では450.8万円で、50代までおおむね500万円前後と、年齢とともに大きく上がる形ではない。
実際の収入は会社や勤務形態、地域で異なるため、応募先ごとに条件を確認したい。
(令和7年賃金構造基本統計調査。個人タクシーは含まない)
-
土地勘がなくてもタクシー運転手になれますか?地理試験はありますか?
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一定の地域でタクシー運転者の登録時に課されていた地理試験は、令和6年2月29日の省令改正で廃止されている(参議院調査室の資料による)。
ただし、道に慣れるまでは営業に時間がかかりやすいため、研修や同乗指導、カーナビ・配車アプリなどの支援体制を応募先で確認しておくと安心だ。
-
20代の女性でもタクシー運転手になれますか?
-
二種免許の受験資格に性別による違いはない。
参議院調査室の資料によると、女性の運転者は運転者全体の約4%(令和5年3月末時点)と少数で、平均年齢は47.1歳と男性運転者の60.4歳より低い。
働きやすさに関わる制度や設備は会社によって異なるため、応募前に確認しておきたい。
-
タクシー運転手を辞める人には、どのような理由が多いですか?
-
当社の転職支援者によると、タクシーを辞めた理由として多いのは「歩合で稼げなかった」「隔日勤務が体に合わなかった(特に60代)」「供給過多で稼げない」などだという。
ほかに「聞いていたのと条件が違う」「接客が向いていなかった」といったミスマッチも挙がっている。勤務形態との相性や条件を入社前に確かめておくことが、ミスマッチを減らす助けになる。
出典:参議院常任委員会調査室・特別調査室『立法と調査』2024年6月 No.467「タクシー輸送の担い手の確保とその在り方」
10.まとめ:20代のタクシー転職は「数字・制度・時間軸」で判断する
20代でタクシー運転手に転職するのが「あり」か「なし」かは、年齢だけでは決まらない。この記事のポイントは次の3つだ。
- 20代の運転者は全体の約2%と少数派で、増え方はわずか
- 年功による上乗せがほとんどなく、個人タクシーの要件は若いほど厳しい
- 二種免許は特例で19歳から受験できるが、若年運転者期間の制約がつく



決め手になるのは、周りの声ではなく、確かめた事実と「何年乗務を続けたいか」という自分の時間軸だ。まずは免許の取得時期の確認と、気になる会社の営業所見学から始めてみてほしい。








