個人タクシーのデメリットと聞くと、まず収入の不安定さが頭に浮かぶ。
だが法人タクシーの運転手から開業を考えているなら、注意したいのはそれだけではない。
会社員のときは会社が持っていた保険や手続き、車両、そして万一のときの備えが、開業するとすべて自分に移る。
「自由で稼げる」という看板の裏で何が変わるのか、開業前に一つずつ確かめておくことが、「こんなはずじゃなかった」を減らす近道になる。

“自由”の裏側は、開業してからじゃ確かめられない。走り出す前に、一緒にのぞいておこう。
- 個人タクシーのデメリットの全体像と、会社員時代との違い
- 社会保険・休んだときの収入・許可の更新と年齢・営業区域といった制度面の制約
- 後悔しないために、法人で働いているうちに確かめておきたいこと
1.デメリットは「会社が持っていたもの」を自分で背負うこと
個人タクシーは、運転者本人が事業者となって1台の車で営業する仕組みだ。
法人タクシーの運転手として働いているときには意識しなくてよかったことの多くが、開業と同時に自分の仕事になる。
まずはメリットを確認したうえで、デメリットの全体像を整理する。
先に押さえたいメリット
デメリットを知るには、何に惹かれて個人タクシーを目指すのかを先に確認しておくと整理しやすい。
よく挙げられるのは、勤務する日や時間を自分で決めやすいことと、売上から経費を引いた分が自分の収入になることだ。
体調や家庭の事情に合わせて働き方を組み立てられる点は、個人タクシーならではの魅力といえる。
ただし、この「自由」と「稼いだ分が収入になる」は、裏返すと「休めば収入は入らない」「経費も自分で払う」という意味でもある。
メリットとデメリットは同じ仕組みの表と裏だと考えると、次の全体像が理解しやすくなる。
会社員時代と開業後の違い
たとえば、会社の健康保険と厚生年金に加入している法人ドライバーが開業した場合を想定してみる。
給与から保険料が天引きされ、手続きも会社が行っていた状態から、すべて自分で選び、自分で納める状態に変わる。
主な違いは次のとおりだ。
| 項目 | 会社員(法人ドライバー)の場合 | 個人タクシーの場合 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 勤め先を通じて加入。業務外の病気やけがで休んだときは傷病手当金の対象になる場合がある | 国民健康保険などに自分で加入。傷病手当金は任意給付で、保険者(市町村など)によって実施状況が異なる |
| 年金 | 厚生年金に加入し、老齢基礎年金に上乗せして受け取れる | 国民年金の第1号被保険者として自分で納付(月額17,920円・令和8年4月現在) |
| 雇用保険 | 要件を満たせば被保険者になる | 事業主のため被保険者にならない |
| 労災保険 | 労働者として対象になる | 「一人親方等」として特別加入できる(任意・団体経由) |
| 休んだときの収入 | 傷病手当金などで一定期間補われる場合がある | 収入は止まる。代務運転の特例はあるが要件が厳しい |
| 車両・事務 | 法人では会社の車両に乗務する。会社員の場合、年末調整などは会社が行うのが一般的 | 車両は自分で用意・管理し、帳簿づけや確定申告も個人事業主として自分で行う |
表のうち、今の給与明細で「会社が負担している項目」を書き出してみると、開業後に自分で用意するものが具体的に見えてくる。
収入が上がるか下がるかだけで判断すると、こうした項目が抜け落ちやすい。
「やめとけ」と言われる理由
「個人タクシー やめとけ」と検索して、否定的な声に迷っている方もいるだろう。
こうした声は一つの理由にまとまっているわけではなく、整理するとおおむね「お金」「体」「続けられる期間」「責任」の4つの軸に分けられる。
- お金
収入の波、経費の自己負担、保険料の負担 - 体
病気やけがで休んだときの収入、体調管理の負担 - 続けられる期間
年齢の上限、許可の更新 - 責任
営業区域の制限、法令違反の処分、事故やトラブルへの対応
どの軸が重く感じられるかによって、同じ個人タクシーでも「向く」「向かない」の答えは変わる。
以降の章では、それぞれの中身を制度の一次情報をもとに確認していく。
2.収入と経費で変わること
個人タクシーのデメリットとして真っ先に挙がるのが、お金に関する点だ。
ここでは、会社員のときと比べて「仕組みとして何が変わるのか」を整理する。
収入の波と、固定給がない働き方
個人タクシーには固定給がない。
乗客の数は季節や天候、景気によって変わり、お客さんが少ない日や時期があっても、その分を会社が補ってくれるわけではない。
営業できない日は、そのまま収入がない日になる。
当社の転職支援者によると、タクシーの仕事を辞めた理由として、歩合で思うように稼げなかったことを挙げる人もいるそうだ。
個人タクシーでは、こうした収入の波を、給与保障のような仕組みなしで自分が受け止めることになる。
月ごとの売上の波を前提に、生活費を組み立てられるかどうかが判断材料の一つになる。
経費は自己負担(売上=収入ではない)
個人タクシーは「完全歩合」と表現されることがあるが、売上がそのまま収入になるわけではない。
売上の中から、車両の購入費、燃料代、整備費、車検、任意保険、税金などを自分で支払うためだ。
中でも保険は、仕事を続けるための条件にもなっている。
4章で見る許可期限の更新の際にも、任意保険に加入していることを示す書面の提出が求められる。
保険料は「入るかどうか選べる出費」ではなく、営業を続けるうえで欠かせない出費と考えておきたい。
売上だけを見て「これだけ稼げる」と考えると、経費を引いた後に手元に残る金額とのずれに、後から気づくことになりかねない。
経費を差し引いた後の金額で家計を組み立てられるかを確認しておこう。
確定申告・帳簿など事務・経理の負担
運転以外の仕事が増えることも、見落とされやすいデメリットだ。
売上や経費の記録、帳簿づけ、確定申告といった事務は、個人事業主として自分で行う。青色申告を選ぶ場合は、帳簿の付け方や減価償却の計算など、一定の知識も求められる。
会社員のときは年末調整などを会社が行っていたため、細かい記録をつけ続けることに抵抗がある方には、運転とは別の負担になる場合がある。
営業を終えて帰宅した後に事務作業が待っている、というイメージを持っておきたい。
3.社会保険・労災・休んだときの収入で変わること
会社員から個人事業主になることで大きく変わる保険と休業時の備えについて、「何がなくなり、何を自分で備えられるのか」を公的機関の情報をもとに確認する。
健康保険と年金の変化
年金と健康保険は、開業すると加入する制度そのものが変わる。年金の納め方と、病気やけがで休んだときの給付に分けて見ていく。
国民年金は自分で納める
20歳以上60歳未満の自営業者は、国民年金の第1号被保険者になる。保険料は月額17,920円(令和8年4月現在)で、自分で納付する。
会社員が加入する厚生年金は、国民年金に上乗せして受け取れる2階建ての仕組みだが、第1号被保険者にはこの上乗せがない。
出典:日本年金機構「第1号被保険者」/日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」
傷病手当金は保険によって異なる
協会けんぽの傷病手当金は、業務外の病気やけがで仕事に就けなくなったとき、連続3日間の待期の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に支給される。
支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月だ。
一方、国民健康保険では、傷病手当金などは「行うことができる」給付とされ、実施状況は保険者(市町村など)によって異なる。
開業を考える段階で、加入予定の市町村の国民健康保険に傷病手当金があるかを、窓口か公式サイトで確認しておくと安心だ。
出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」/厚生労働省「国民健康保険制度の概要」
雇用保険と労災保険の扱い
雇用保険と労災保険は、どちらも本来は雇われて働く人のための制度だ。開業後にどう扱われるのかを、制度ごとに確認する。
雇用保険は対象外になる
雇用保険は、雇われて働く人を対象にした制度で、事業主は被保険者にならない。
個人タクシーの運転手は事業主にあたるため、会社員のときのように雇用保険の対象にはならない。仕事が減った場合の備えも、会社員とは異なることになる。
労災保険は特別加入できる
労災保険も本来は労働者が対象だが、労働者以外の一定の方が任意で加入できる「特別加入」の制度がある。
個人タクシーは、その中の「一人親方等」(第二種特別加入)の対象業種に挙げられており、同じ業種の団体を経由して手続きを行う。
たとえば営業中の事故でけがをして運転できなくなっても、特別加入をしていなければ労災保険の補償は受けられない。
加入できる団体や費用は地域によって異なる可能性があるため、開業前に確認しておきたい。
病気やけがで休んだとき
入院して数か月運転できなくなった場面を考えてみる。頼れそうな制度と、その限界を順に確認する。
代務運転の特例と主な要件
個人タクシーには、運転者本人の病気やけがで事業を続けられない場合に、一定期間だけ他の人に運転させられる「代務運転」の特例がある。
ただし、国土交通省の通達に細かな要件が定められている。
主な要件は、入院や療養が必要なことが医師の診断書で明らかなこと、個人タクシー以外に収入の途がなく生計の維持が著しく困難なこと、申請時に75歳未満であることなどだ。
承認期間は6か月が限度で、更新しても原則として当初の承認から1年までとされる。
代務運転をする人にも、65歳未満であることや、タクシー・ハイヤーの運転経験があることなどの要件がある。
出典:国土交通省「個人タクシー事業の許可期限の更新等の取扱いについて」
仕事中のけがと仕事以外の病気
労災保険の特別加入で備えられるのは、営業中の事故によるけがなど、仕事が原因の災害だ。
一方、仕事以外の病気で休んだ場合、加入する国民健康保険に傷病手当金がなければ、休業中の収入を公的な給付で補う手段は限られる。
代務運転も限られた場合の特例と考えると、休業が数か月続いても家計が回るかを、開業前に試算しておくことが大切になる。
具体的な確かめ方は、7章で整理する。
4.続けられる期間と縛り|年齢・更新・区域・処分
個人タクシーは、一度許可を受ければ自由に長く続けられる、というものではない。
年齢、更新、営業区域、法令違反の処分という4つの縛りを、制度に沿って確認する。
「定年がない」は本当か
「個人タクシーには定年がない」と紹介されることがある。
会社の定年制のような決まりはないが、許可には期限があり、更新のたびに審査を受ける。
更新で求められる書類と、年齢による期限の上限を分けて確認する。
更新のたびに求められる書類
国土交通省の通達では、許可期限の更新の際に、運転免許証の写し、運転記録証明書、任意保険に加入していることを示す書面、適性診断を受けたことを示す書面、胸部疾患・心臓疾患・血圧などの診断を受けたことを示す書面などの提出が求められる。
更新時に65歳以上の場合は、高齢者向けの適性診断を受けたことを示す書面も必要になる。
年齢による期限の上限
平成14年2月以降に許可を受けた場合(譲渡譲受や相続の認可を含む)、更新後の許可期限は、原則として満75歳の誕生日の前日を超えない日とされている。
ただし、人口が概ね30万人以上の都市を含まない営業区域などで、75歳以上で許可を受けた場合は、満80歳の誕生日の前日が上限になる。
また、更新時の年齢が65歳以上73歳未満なら最長3年後、73歳以上75歳未満なら2年後、75歳以上なら1年後が、更新後の期限の上限だ。
無事故無違反であっても、年齢によって期限の上限は短くなる。
たとえば64歳で許可を受けた場合、営業を続けられるのは満75歳の誕生日の前日までのおよそ10年で、その間も最長3年、73歳以降は最長2年ごとに更新の審査を迎える。
自分の年齢から逆算して、何回更新を迎えられるかを書き出してみるとよいだろう。
出典:国土交通省「個人タクシー事業の許可期限の更新等の取扱いについて」/東北運輸局 公示第82号「個人タクシー事業の許可期限の更新等の審査及び取扱い基準について」
申請年齢の上限と地域による違い
開業そのものにも年齢の上限がある。個人タクシーの法令試験(事前試験)は、申込日現在で原則として65歳未満であることが要件とされている。
一方、人口が概ね30万人以上の都市を含まない営業区域等では、80歳未満とする取り扱いもある(北陸信越運輸局の公示)。
事前試験の合格証にも有効期限があり、65歳に近いほど使える期間が短くなる。
60代前半で開業を考える方は、希望する営業区域を管轄する運輸局の公示を早めに確認しておきたい。
出典:北陸信越運輸局「個人タクシー事業の許可等に係る法令の試験について(公示第25号)」/近畿運輸局「個人タクシー事前試験・申請の流れ」
営業区域の制限
個人タクシーの許可には、営業区域が定められている。
「営業区域を自分で選べる」と紹介されることもあるが、許可を受けた区域の外で、自由にお客さまを乗せられるわけではない。
道路運送法第20条は、発地と着地のいずれもが営業区域外となる旅客の運送を、災害時など一定の場合を除いて禁じている。
そのため、営業区域内で乗せて区域外へ向かうことは可能だが、区域外で乗せて区域外で降ろす運送はできない。
営業予定の区域がどの範囲にあたるのかは、開業前に運輸局で確認しておくと、想像との差が小さくなる。
法令違反の処分と、更新期限への影響
会社に所属していれば事業者としての責任は会社が負うが、個人タクシーでは運転者本人が事業者になる。
道路運送法第40条は、法律や命令、許可に付された条件に違反したときなどに、6か月以内の期間を定めた使用停止や事業停止を命じたり、許可を取り消したりできると定めている。
また、国土交通省の通達の別表では、審査期間中の事故や違反の状況によって、更新後の許可期限が5年・3年・1年などに分かれる。
日頃の安全運転に加えて、運転記録証明書などの書類の期限を管理することも、個人事業主として欠かせない備えになる。
出典:e-Gov法令検索「道路運送法」/国土交通省「個人タクシー事業の許可期限の更新等の取扱いについて」
5.仕事の進め方で変わること
法人のときには「会社の仕組み」に任せられていた日々の判断や相談の場を、個人タクシーでは自分で用意することになる。
営業や事故対応も自分で決める
どの時間帯にどこで営業するか、何時間働くか、体調が悪い日にどうするか。こうした判断を、すべて自分で行う。自由度が高い反面、決める責任も自分にある。
事故やトラブルが起きたときも、運行管理者のいる会社とは違い、自分で判断して動く場面が増える。保険の内容を自分で比べて選ぶ力も求められる。
こうした負担を「自由の対価」と考えられるかどうかが、向き不向きを分けるポイントの一つになる。
相談相手がいないことへの備え
個人タクシーでは、上司や同僚に気軽に相談できる場面が少なくなる。
判断に迷ったときや制度の変更を知りたいときに、聞ける相手を自分で確保しておく必要がある。
その備えとして、事業者団体の存在が挙げられる。
国土交通省の通達には、事業者団体が交通安全や税務の講習会、接遇に関する講習会などを実施することが記載されている。
団体ごとの加入条件や費用は、管轄地域の団体に直接問い合わせて確かめておきたい。
出典:国土交通省「個人タクシー事業の許可期限の更新等の取扱いについて」
6.後悔しやすい人・向いている人
ここまでのデメリットは、人によって重く感じる度合いが違う。後悔しやすいパターンと、向いている人の特徴を整理する。
後悔しやすいパターン
後悔につながりやすいのは、制度や仕組みを開業前に十分確かめていなかった場合だ。たとえば、次のようなパターンが考えられる。
- 自由な働き方にだけ惹かれて、休んだときの収入や保険の変化を確認していなかった
- 「定年がない」と思っていて、許可の更新と年齢による期限の上限を知らなかった
- 収入の波に備える貯えや、固定費の見直しをしないまま開業した
これらはいずれも、事前に確認していれば判断の材料にできたものだ。
当社の転職支援者によると、ドライバーの転職でも、給与が高いという理由だけで転職したものの、拘束時間や仕事量、休みの取りやすさなど給与以外の部分が合わず、長続きしなかったケースがあるそうだ。
個人タクシーを考えるときも、収入以外の条件まで確かめておくと安心だ。
向いている人の特徴
一方で、次のような方は、個人タクシーの働き方に合いやすいと考えられる。
- 収入の波があっても、貯えや家計の組み立てで受け止められる
- 体調管理や営業の判断を、自分で決めることに抵抗がない
- 帳簿づけや申告などの事務を、継続して行える
- 許可の更新や年齢の上限を踏まえて、長期の計画を立てられる
当てはまらないから向かない、というわけではない。
足りない部分を、開業前の準備で補えるかどうかが現実的な見方になる。
法人のまま続ける方が合う人
反対に、毎月の収入の見通しを立てやすいことを重視する方や、病気やけがのときの備えを会社の制度に任せたい方は、法人のまま働く方が合う場合がある。
個人タクシーは「法人より上のゴール」とは限らず、あくまで働き方の選択肢の一つだ。
どちらが優れているかではなく、自分の優先順位に合うのはどちらかという視点で考えることが、後悔を避ける近道になる。
法人のまま働く道も含めて、自分に合う会社を探したい方は、タクシー業界に詳しい転職支援サービスに条件を相談してみるのも一つの方法だ。
一人で転職活動を進めるのに迷ったら、ドライバー専門の転職エージェントを頼ってみるのも一つの手だ。
ドライバー業界特有の慣習や各社の実態に詳しい専任のエージェントが、転職活動をサポートしてくれる。
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7.後悔しないために法人在籍中に確かめること
ここまでのデメリットを踏まえて、開業を決める前に、法人で働いているうちに確かめておきたい行動を3つに整理する。
家計と貯えを確かめる
最初に確かめたいのは、収入が止まったときに、何か月分の生活を支えられるかだ。
家賃、ローン、保険料、教育費などの固定費を書き出し、収入が途絶えた場合に貯えで何か月暮らせるかを計算してみてほしい。
固定費の割合が大きい家庭では、少し長めに休業するだけで家計が厳しくなる場合がある。
休業や収入減が数か月続いても固定費を払い続けられるかどうかが、判断の基準の一つになる。
運輸局で最新の要件を確認する
本記事で紹介した制度は、国土交通省の通達や運輸局の公示などをもとにしているが、年齢要件や更新の運用は地域によって異なる場合がある。
開業を具体的に考える段階では、営業を予定する区域を管轄する運輸局の公示や窓口で、最新の内容を確認してほしい。
確認した内容はメモに残しておくと、家族と話し合うときの材料になる。
「個人にこだわらない」選択肢と比べる
個人タクシーを考え始めたきっかけの希望が、実は法人でも満たせる、ということもある。希望の整理と、法人の条件の見方を分けて確認する。
希望を言葉にしてみる
「自分のペースで働きたい」「もっと稼ぎたい」という希望から個人タクシーを考え始めた方は、その希望を先に言葉にしてみてほしい。
時間の自由度なのか、収入の上限なのか、人間関係の気楽さなのかによって、法人で満たせる場合もあれば、個人でなければ難しい場合もある。
法人の求人を比べるときの見方
法人の求人を見るときは、歩合率や給与保障、勤務体系の違いなど、会社ごとの条件を比べると、希望が満たせるかどうかが見えてくる。
当社の転職支援者によると、定着しやすい会社は、入社前に聞いていた条件と入社後の実態とのギャップが少ないという。
仕事量や収入の安定、無理のない勤務スケジュール、入社後のフォローなど、給与以外の点もあわせて確かめておくと安心だ。
個人タクシーと法人の双方を同じ物差しで比べたうえで決めることが、後悔を減らす現実的な方法になる。
開業に必要な運転経歴を積みながら、腰を据えて働ける会社を探している方は、こちらも参考にしてほしい。


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8.個人タクシーのデメリットに関するよくある質問
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個人タクシーを長く休むと、どうなりますか?
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国土交通省の通達では、事業の休止期間が30日以内なら運転日報に明記し、30日を超える場合は事業休止届出書を提出するとされている。
また、おおむね過去1年間に特段の事情なく事業を行っていない場合は、事業廃止の届出を行うよう指導するとされている。
長く休む可能性があるときは、管轄の運輸局で取り扱いを確認してほしい。
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代務運転を使っている間、本人が運転してもよいですか?
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国土交通省の通達では、代務運転の承認期間中は、事業者本人が運転業務に従事してはならないとされている。
期間中に病気やけがが治り、運転に戻れるようになった場合は、速やかに解除の届出書を地方運輸局長へ提出したうえで復帰することになる。
手続きの詳細は、管轄の運輸局で確認してほしい。
出典:国土交通省「個人タクシー事業の許可期限の更新等の取扱いについて」
9.まとめ|「自分で背負うもの」を知ってから決める
個人タクシーのデメリットは、収入の不安定さだけではない。会社が肩代わりしていた保険や休んだときの収入、手続き、責任が、まるごと自分に移ることにある。この記事のポイントは次の3つだ。
- 年金は国民年金の第1号被保険者になり、雇用保険は対象外、労災は任意の特別加入になる
- 許可は更新制で、期限は原則として満75歳の誕生日の前日まで。営業区域にも制限がある
- 家計の固定費、運輸局の最新要件、法人で働く道を、開業前に同じ物差しで確かめる



知ったうえで選べば、個人でも法人でも、納得して次の一歩を踏み出しやすくなる。…まあ、そんなもんだ。
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