女性のタクシー深夜勤務は必須?選べる時間帯と夜間の備え

女性のタクシー深夜勤務は必須?選べる時間帯と夜間の備え

「女性でもタクシーの深夜勤務はしなければいけないのか」「夜に一人で乗務するのは不安だ」。

そう感じて転職に踏み切れずにいる人は、きっと少なくない。結論から言えば、女性のタクシー深夜勤務は、必ずしも必須とは限らない。

昼の時間帯を中心に働ける会社もあり、勤務時間帯の選択肢は会社によって異なる。

この記事では、深夜勤務の位置づけを現行の制度から整理したうえで、勤務時間帯の選び方と、夜間に働く場合の防犯・トイレ・一人乗務の不安への備え、面接で確認したいことを解説する。

夜を避けて走る道もあれば、備えて夜を走る道もある。どっちを選ぶかは、知ってから決めればいい。…まあ、そんなもんだ。

この記事を読んでわかること
  • 女性のタクシー深夜勤務の位置づけ(現行の制度と、会社ごとの勤務制度の違い)
  • 昼日勤・夜日勤・隔日勤務・定時制のうち、深夜帯に入る働き方と入らない働き方
  • 夜間に働くときの防犯面・トイレ・休憩・一人乗務への備えと、面接で確認したい項目
目次

1.女性のタクシー深夜勤務は必須?まず押さえたい前提

深夜勤務を調べ始めると、「女性は夜に働けない」「いや、夜勤が当たり前だ」と、真逆の情報にぶつかることがある。

まずは制度の面と会社ごとの運用の面に分けて、前提を整理しておく。

深夜勤務の有無は会社によって異なる

タクシー会社では、日勤・夜勤・隔日勤務といった複数の勤務形態を用意しているところがあり、昼の時間帯を中心に働けるかどうかは会社によって異なる。

女性の応募者向けに、深夜を避けた勤務制度を案内している会社もあれば、隔日勤務を基本としている会社もある。

そのため、「女性だから深夜勤務は免除される」「女性でも全員が夜勤をする」と一括りに考えるのは適切ではない。

現行法に女性の深夜業禁止はない

インターネット上には、かつて女性の深夜業が原則として禁止されていた時代の判例や解説が残っており、今も同じ規制があると誤解されることがある。

実際には、1999年4月に改正男女雇用機会均等法が全面施行されるなど一連の法改正によって、女性労働者に対する時間外・休日労働、深夜業の規制が解消された。

したがって現在は、法律上、女性であることだけを理由に深夜業が禁止されているわけではない。

深夜に働くかどうかは、会社の勤務制度と本人の希望・事情によって決まる。確認するときは、法律ではなく「その会社にどんな勤務制度があるか」を尋ねるのが実務的だ。

妊娠・育児・介護時の深夜業免除

女性一般に対する禁止はなくなった一方で、一定の事情がある場合に深夜勤務の免除や制限を求められる制度は残っている。

たとえば労働基準法第66条第3項では、妊産婦(妊娠中の女性および産後1年を経過しない女性)が請求した場合、使用者は深夜業をさせてはならないとされている。

また、育児・介護休業法では、小学校就学前の子を養育する人や、要介護状態の家族を介護する人が請求した場合の深夜業の制限が定められている。

ただし、育児・介護による制限は、勤続1年未満の人などが対象外となる場合があるため、自分が対象になるかは応募先の就業規則や担当者に確認してほしい。

深夜帯(22時〜5時)の割増賃金

労働基準法第37条第4項では、原則として午後10時から午前5時までの労働に対して、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払うことが定められている。

法律上は23時から6時とする例外規定もあるが、これまで地域や期間が指定された例はないとされる。

一方、昼の時間帯を中心に働く場合は、深夜割増の対象となる時間が基本的に生じない。

ただし収入への影響は、固定給と歩合給の組み合わせなど会社の給与体系によって変わるため、一概にどちらが有利とはいえない。

出典:厚生労働省「平成11年版 働く女性の実情」/厚生労働省「家族的責任を有する労働者への配慮について」/厚生労働省「確かめよう労働条件」労働条件に関するQ&A(深夜割増)

2.女性が選べる勤務時間帯と、深夜帯に入るかどうか

ここからは働き方の話に移る。タクシーの勤務体系には、昼日勤・夜日勤・隔日勤務・定時制がある。

ここでは拘束時間などの細かいルールには立ち入らず、それぞれが深夜帯(22時から5時)に入るかどうかという視点で整理する。

昼日勤|深夜帯を避けやすい働き方

昼日勤は、朝から夕方までの時間帯に働く勤務体系である。

夜間の勤務がないため、深夜帯の乗務を避けたい人にとって、まず検討しやすい働き方といえる。

ただし、始業・終業の時刻や月の乗務日数は会社によって異なるため、求人を探すときは「昼日勤が選べるか」を最初の確認項目にするとよい。

夜日勤|夕方から深夜・早朝にかけて働く

夜日勤は、夕方から深夜・早朝にかけて働く勤務体系である。

始業・終業の時刻は会社によって異なり、深夜から明け方まで乗務するケースもある。深夜帯の乗務が含まれるため、前述の深夜割増が賃金に関わる。

夜間の人の動きに合わせて働くことになるので、生活リズムが夜型になりやすい点や、夜間の防犯面の備えが気になる人は、後述の確認ポイントも参考にしてほしい。

隔日勤務|深夜帯を含む長時間の勤務

隔日勤務は、1回の勤務で昼と夜の両方の時間帯にまたがって働き、翌日は休みとなる働き方である。深夜帯の乗務も含まれる。

隔日勤務を基本としている会社もあるため、深夜帯を避けたい場合には、隔日勤務のみの会社は選びにくくなる。

一方で、出庫は多くても月13回ほどと勤務日数が少なく、休みをまとまって取りやすいと考える人もいる。

定時制|勤務日数を抑えたい場合の選択肢

会社によっては、定時制など、勤務日数や時間を抑えた勤務形態を設けている場合がある。

名称や内容は会社ごとに異なるため、育児や介護など家庭の事情で働ける時間が限られている人は、そうした勤務形態があるかを確認してみるとよい。

深夜帯に入るかどうかは設定されている時間帯によって変わるので、応募の段階で確かめておきたい。

「日勤のみ」を選ぶときの注意点

夜間の不安が大きい人ほど、まず「日勤のみ」を考えるだろう。ここでは、始め方と確認の仕方の2つに分けて整理する。

昼日勤から始めて慣れていく

まず昼日勤から始めて、仕事に慣れてから働き方を見直していくという考え方もある。昼の時間帯を中心にすれば、深夜に繁華街で酔ったお客様を乗せる場面を避けやすくなるためだ。

当社の転職支援者によると、入社直後は土地勘や配車アプリの使い方、稼ぎやすい時間帯・エリアの把握に時間がかかり、最初の1〜2ヶ月は稼働率が上がりにくいケースがあるそうだ。

慣れるまでの期間を、負担の少ない時間帯で過ごすのも一つの方法だ。

「日勤のみ」で入れるか確かめる

「日勤のみ」で入社できるかどうかは、会社の人員の状況や制度によって異なる。

求人票の文言だけで決めず、日勤のみの求人でも実際の運用を面接で具体的に確認しておくと、入社後のミスマッチを減らせる。

一人で転職活動を進めるのに迷ったら、ドライバー専門の転職エージェントを頼ってみるのも一つの手だ。

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3.女性が夜間・深夜に働くときの防犯面の備え

夜間に働くことを検討するなら、一番気になるのは防犯面だろう。

「夜勤は女性にとって危険か」という疑問に対しては、危険と断定することも、安全と言い切ることもできない。

会社の設備や体制によって状況が変わるため、何を確認すればよいかを整理しておくことが大切だ。

車両・会社の防犯設備の例

タクシー会社では、安全確保のために、さまざまな設備や仕組みを導入しているところがある。

たとえば、防犯カメラやドライブレコーダー、防犯仕切り板、緊急時に通報できるボタン、無線やGPSによる位置の把握などが、求人情報や関連記事で紹介されている。

ただし、こうした設備をすべての会社が同じように導入しているわけではない。

導入の有無や範囲は会社によって異なるため、求人票に「防犯設備あり」と書かれていても、具体的に何がどの程度整っているのかを確かめることが重要だ。

トラブル時の連絡体制の確認

設備と同じくらい大切なのが、困ったときに誰とどのようにつながるかという体制である。

夜間のお客様対応でトラブルになりかけたとき、すぐに会社へ連絡できるのか、営業所に管理者がいる時間帯はいつまでかなど、夜間の連絡体制は会社によって異なる。

面接や見学のときには、「夜間に困ったときはどこへ連絡するのか」「無線や通報ボタンから連絡すると、誰が対応するのか」といった点を聞いておくと、入社後の安心感につながる。

設備は「有無」より「運用」を確認

防犯設備については、設置されているかどうかだけでなく、実際にどう運用されているかまで確認しておきたいところだ。確認の例としては、次のような点がある。

  • 前後のドライブレコーダーや緊急通報ボタンが、全車両に搭載されているか
  • トラブルがあった場合に、会社としてどのようにサポートしてくれるのか
  • ハラスメントなどについて相談できる窓口があるか

大切なのは、自分が乗務する車両・会社で、実際に何が整っているかを確認することだ。

4.夜間乗務のトイレ・休憩・仮眠の実情

防犯に比べて語られることが少ないが、夜間に働くうえで現実的な悩みになりやすいのが、トイレや休憩の取り方だ。

「乗務中にトイレに行きたくなったらどうするのか」は、女性に限らず多くの人が気にするポイントといえる。

乗務中のトイレの取り方

乗務中のトイレは、基本の取り方と、夜間ならではの工夫に分けて考えるとわかりやすい。

お客様を乗せていないタイミングで取る

乗務中は、お客様を乗せていないタイミングで、トイレ休憩を取るのが一般的である。

公園などの公共施設やコンビニのトイレなど、移動中に見つけたトイレを利用することが多く、営業所の近くにいるときは営業所のトイレを使える。

夜間に使える場所を把握しておく

夜間は、日中に比べて立ち寄れる店舗や施設が限られる場合がある。

安全で清潔に使えるトイレの場所をいくつか把握しておき、休憩のタイミングに合わせてルートを考えておくと、乗務中に慌てずに済む。

仮眠室・シャワー・更衣室の確認

営業所に仮眠室やシャワーを設置しているタクシー会社もあり、公園などに停車して休憩するより、ゆっくり体を休められるという紹介もある。

夜間に働く場合は、休憩や仮眠の場所が確保されているかも、働きやすさに関わってくる。

女性が確認しておきたいのは、更衣室・シャワー室・仮眠室が男女で分かれているか、女性専用の設備があるかといった点だ。

会社によって設備の整い方は異なるため、見学の際に実際の場所を見せてもらうと、イメージがつかみやすくなる。

乗務前に整理しておきたいこと

夜間の乗務に向けては、トイレの場所に加えて、営業所に戻る目安のタイミングや、体調が優れないときの連絡方法も整理しておくと安心だ。

入社後の研修や同乗の機会に先輩に聞いておけば、自分なりの休憩の流れをつくりやすくなるだろう。

5.一人での乗務・体力面の不安への備え

夜間の防犯やトイレのほかにも、「一人で長時間運転することへの不安」や「体力が続くか」という悩みがある。

ここでは、女性に限らずタクシー運転手が感じやすい傾向を踏まえつつ、備え方を整理する。

乗務中はひとりで過ごす時間が長い

タクシーの乗務中は、お客様を乗せていない間、基本的にひとりで運転を続ける。

職場の人間関係に煩わされにくいと感じる人がいる一方で、ひとりの時間が長く続くことに心細さを覚える人もいるだろう。夜間は日中よりも人通りが減るため、その感覚が強まることもある。

3章で触れた夜間の連絡体制は、ひとりの時間の心細さを和らげるという意味でも確かめておきたい。

生活リズムと体力面の不安への向き合い方

夜間や長時間の勤務では、生活リズムの乱れや体力面の負担を感じる人もいる。

隔日勤務のように1回の拘束が長い働き方では、休みをまとめて取りやすい反面、睡眠や体調の管理に気を配る必要がある。

当社の転職支援者によると、タクシーを辞めた理由として、隔日勤務が体に合わなかったことを挙げるケースがあるそうだ。

不規則な生活リズムへの適応には個人差があるため、無理のない勤務形態から始めて、体調を見ながら調整していくという考え方も選択肢になる。

勤務形態を後から変えられるか

入社後に「思ったより夜間がきつい」と感じた場合に備えて、勤務形態を後から変更できるかを確認しておくことも大切だ。

たとえば、夜日勤から昼日勤に切り替えられるか、隔日勤務から日勤中心に変えられるかといった点は、会社の制度や人員の状況によって異なる。

体調の変化や家庭の事情で働き方を見直したくなったとき、相談しやすい窓口があるかどうかも、長く働き続けるための判断材料になる。

面接では、制度の有無だけでなく、実際に勤務形態を変えた人がいるかどうかまで聞いてみるとよい。

6.自分に合う時間帯の選び方と、面接で確認したいこと

ここまでの内容を踏まえて、自分に合う時間帯をどう選ぶか、そして応募先に何を確認すればよいかを整理する。

事情別に考える時間帯の選び方

勤務時間帯の選び方は、人によって優先したいことが異なる。以下は事情ごとの一般的な目安であり、実際に選べる働き方は会社によって異なる。

優先したいこと考え方の目安
子育てや介護との両立昼日勤や定時制など、夜間に家を空けにくい事情に合わせやすい勤務形態を探す。深夜業の免除・制限の対象になるかも確認する
夜間の防犯面の不安が大きい昼日勤を中心に探す。夜間に働く場合は、防犯設備や連絡体制を重視して選ぶ
収入を重視したい深夜割増の対象となる時間帯や、歩合を含む給与体系を確認し、条件を比べて判断する
体力や生活リズムに不安がある1回あたりの拘束が短い勤務形態から始め、勤務形態を変更できるかも確認する

複数の事情が重なる場合は、「何が一番譲れないか」を1つ決めておくと、会社を比較するときの軸になる。

たとえば「夜間は避けたい」を最優先にするなら、その条件を満たす会社の中から、収入や設備を比べるという順番が考えられる。

面接・見学で確認したい質問リスト

勤務時間帯や夜間の備えは、求人票だけではわからない部分が多い。ここまでの確認ポイントを、面接や見学でそのまま使える質問の形にまとめると次のとおりだ。

確認の観点質問の例
勤務形態昼日勤だけで働けるか
入社後に勤務形態を変更できるか
深夜帯に乗務する場合の勤務パターン
夜間の安全防犯カメラ・ドライブレコーダー・緊急通報ボタンは全車両に付いているか
夜間に困ったときの連絡先と対応体制
休憩・設備休憩や仮眠、トイレの取り方を乗務員はどうしているか
更衣室・シャワー室・仮眠室は男女で分かれているか
家庭の事情育児や介護、妊娠中・産後の勤務について、相談できる窓口や制度があるか

当社の転職支援者によると、同じ会社でも営業所によって所長や配車担当、教育担当が異なるため、雰囲気や働きやすさが変わるケースがあるという。設備や連絡体制は、配属予定の営業所について確認しておくと安心だ。

早期離職の理由として最も大きいのも、「聞いていた話と違う」というギャップだそうだ。残業時間や実際の拘束時間、仕事の大変さなどが、離職につながりやすい。

質問に具体的に答えてもらえるかどうかも、判断材料の一つにするとよい。

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7.女性タクシー運転手の深夜勤務に関するよくある質問

深夜業の免除を申し出たら、不利な扱いを受けることはない?

育児・介護休業法では、深夜業の免除を申し出たことや免除を受けたことなどを理由に、解雇や雇止めなどの不利益な取扱いをすることは禁止されている。

不安がある場合は、勤務先の担当窓口や公的な相談窓口に相談する方法もある。

育児・介護を理由にした深夜業の免除は、必ず認められる?

育児・介護休業法に基づく請求は、「事業の正常な運営を妨げる場合」には、会社が拒めるとされている。

ただし、単に深夜業が事業運営上必要だという理由だけで拒むことは認められず、会社には代わりの人員を配置するなど、通常考えられる相当の努力が求められる。

なお、妊産婦が労働基準法第66条第3項に基づいて請求する場合には、こうした例外は定められていない。個別の判断は状況によって異なるため、最新の情報は公的機関で確認してほしい。

深夜業の免除を受けたら、昼の勤務に移れる?

法律上、深夜業の免除を受けた人を昼間の勤務に移す義務が会社に生じるわけではない。

厚生労働省は、免除期間中の待遇(昼間勤務への転換の有無を含む)をあらかじめ定めて周知するよう、会社に配慮を求めている。

制度を利用する可能性がある場合は、就業規則や面接で確認しておくと安心だ。

8.まとめ|深夜勤務は「選べるか」と「備えられるか」で決める

女性のタクシー深夜勤務は、法律で禁止されているわけでも、必ず求められるわけでもない。最後に、この記事のポイントを3つに絞って振り返る。

  • 1999年4月以降、女性だけを対象にした深夜業の規制はなく、深夜に働くかは会社の勤務制度と本人の希望・事情で決まる
  • 妊産婦や、育児・介護をしている人には、深夜業の免除・制限を請求できる制度がある
  • 夜間に働くなら、防犯設備の運用や連絡体制、トイレ・休憩の取り方を面接や見学で確かめておく

焦って決めなくていい。確かめるべきことを確かめて、自分の流儀で選べばいい。…まあ、そんなもんだ。

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