タクシーの勤務体系というと「隔日勤務」を思い浮かべる人が多いかもしれない。
しかし実際には、昼日勤・夜日勤・隔日勤務・定時制の4つの種類があり、生活スタイルに合わせて働き方を選べる。
この記事では、タクシーの勤務体系4種類の違いと、2024年4月に改正された拘束時間・休息期間のルール、自分に合った勤務体系の選び方を整理して紹介する。

タクシーの働き方は、隔日勤務だけじゃない。4つの違いを知れば、自分の暮らしに合う一本がきっと見えてくる
- タクシーの勤務体系4種類(昼日勤・夜日勤・隔日勤務・定時制)それぞれの特徴
- 2024年4月改正後の拘束時間・休息期間の現行ルール
- 生活スタイルに合った勤務体系の選び方と応募前の確認ポイント
1.タクシーの勤務体系は4種類
タクシードライバーの勤務体系は、大きく「昼日勤」「夜日勤」「隔日勤務」「定時制」の4種類に分かれる。
会社によっては一部しか採用していない場合もあるが、業界全体で見ればこの4つが基本の枠組みだ。
ここからは、それぞれの勤務時間帯や乗務日数の目安を順番に見ていこう。向いている人の傾向は「2.4つの勤務体系をひと目で比較」でまとめて紹介する。
昼日勤
昼日勤は、朝から夕方までの時間帯に働く勤務体系である。
始業・終業の時刻や実働時間、休憩の取り方は会社によって異なる。夜間の勤務がないため、生活リズムを保ちやすいのが特徴だ。
月間の乗務日数も会社によって差があり、ある会社の日勤の例では月22乗務(最大26乗務)とされている。シフト制のため、休みは曜日固定ではない会社が多いようだ。
タクシーの需要は夜間に高まりやすく、昼日勤のみを募集する会社は他の勤務体系に比べて少なめといわれる。応募前に、昼日勤を選べるかどうかを確認しておきたい。
出典:タクシー運転手(タクシードライバー)の勤務内容・勤務時間について|国際自動車
夜日勤
夜日勤は、夕方から深夜・早朝にかけて働く勤務体系である。
始業・終業の時刻や休憩の取り方は、昼日勤と同様に会社によって異なる。
労働基準法第37条では、原則として午後10時から午前5時までの深夜労働に対し、2割5分以上の割増賃金の支払いが定められている。
そのため、昼日勤に比べて収入を伸ばしやすい傾向があるとされる。ただし、歩合給が中心の給与体系では、実際の収入差は会社の賃金規定によって変わる。
繁華街からの帰宅や終電後の移動など、夜間ならではの需要に応える働き方だ。昼夜が逆転した生活になりやすいため、体調管理を意識しておきたい。
出典:時間外、休日及び深夜の割増賃金(第37条)|和歌山労働局
隔日勤務
隔日勤務は、1回の勤務で昼と夜の両方の時間帯をまとめて乗務するスタイルだ。
出勤する日を「出番」、勤務明けで休む翌日を「明番」と呼び、この2日間を1つのサイクルとして繰り返す。出番と明番を2回ほど繰り返した後に、まる1日休みの「公休」を取るローテーションが一般的である。
月間の乗務日数は、ある会社の例では月11乗務(最大13乗務)とされている。勤務日数は少ない一方、1回あたりの拘束時間が長いのが特徴だ。
昼夜両方の需要を1回の勤務で取り込めるため、多くの会社がこの勤務体系を中心に採用しているとされる。
拘束時間・休息期間の具体的なルールは「3.拘束時間・休憩・休息期間のルール(2024年改正版)」で解説する。
出典:【タクシードライバーの働き方】勤務形態・勤務時間を徹底解説!|運転者職場環境良好度認証制度
定時制
定時制は、アルバイトやパートに近い位置づけの勤務体系である。
これは、昼日勤・夜日勤・隔日勤務のいずれかのシフトパターンで、正社員より勤務日数を少なく設定して働く。
一般的な目安は正社員より乗務日数を少なくした水準で、隔日勤務なら月8乗務前後、昼日勤・夜日勤なら月16乗務前後とされる。
ただし、これは法令で定められた基準ではなく、日数や歩合率の扱いは会社ごとの規定による。歩合率が正社員より低めに設定される場合もあるため、応募先ごとに確認しておきたい。
2.4つの勤務体系をひと目で比較
ここまで紹介した4つの勤務体系を、拘束時間や乗務日数、向いている人の傾向で比較してみよう。あくまで一般的な目安であり、実際の条件は会社ごとの規定によって異なる点に留意してほしい。
拘束時間・乗務日数の比較表
勤務時間帯・乗務日数の目安に加えて、改善基準告示で定められた1回あたりの拘束時間の上限を並べると、次のとおりだ。
| 勤務体系 | 勤務時間帯の目安 | 月間乗務日数の目安 | 1回の拘束時間の上限(改善基準告示) |
|---|---|---|---|
| 昼日勤 | 朝〜夕方(会社によって異なる) | ある会社の日勤の例で月22乗務(最大26乗務) | 原則13時間以内(延長時の上限15時間) |
| 夜日勤 | 夕方〜深夜・早朝(会社によって異なる) | 会社によって差がある | 原則13時間以内(延長時の上限15時間) |
| 隔日勤務 | 1回の勤務で昼夜をまとめて乗務 | ある会社の例で月11乗務(最大13乗務) | 2暦日で22時間以内(2回平均で21時間以内) |
| 定時制 | 昼日勤・夜日勤・隔日勤務のいずれか | 正社員より少なめ(隔日勤務で月8乗務前後が目安) | 選んだシフトパターンのルールに準じる |
大まかには「隔日勤務は勤務日数が少なく1回が長い」「昼日勤・夜日勤は勤務日数が多く1回が短い」「定時制はさらに日数が少ない」という違いをつかんでおくとよいだろう。
向いている人の比較
それぞれの勤務体系には、向いている人の傾向がある。生活スタイルや体力、働き方の希望を踏まえて、自分に近いものを確認してみてほしい。
- 昼日勤
規則正しい生活リズムを大切にしたい人、夜間の勤務を避けたい人、家庭やプライベートとの両立を重視したい人 - 夜日勤
夜型の生活リズムに慣れている人、昼間は自宅にいる必要がある人、効率よく収入を伸ばしたい人 - 隔日勤務
長時間の勤務でもまとまった休息で回復できる人、休日を多く確保したい人、昼夜両方の需要をカバーしたい人 - 定時制
家庭の事情で働ける時間が限られている人、他に本業がある人、定年後にマイペースで働きたい人
いずれの勤務体系にも一長一短があり、決まった正解はない。次の章では、選ぶ前に押さえておきたい拘束時間・休息期間のルールを確認する。
3.拘束時間・休憩・休息期間のルール(2024年改正版)
タクシードライバーの拘束時間・休息期間は、厚生労働大臣告示である「改善基準告示」で定められている。
この告示は2024年4月1日から改正後の内容が適用されている。他のサイトなどで「2暦日21時間」「休息20時間」「月299時間」といった数値を見かけることがあるが、これらは2024年3月までの旧基準だ。
ここでは現行のルールと休憩時間の考え方を、勤務体系ごとに整理する。
1か月の拘束時間の上限
1か月あたりの拘束時間の上限は、日勤(昼日勤・夜日勤)が288時間以内、隔日勤務が262時間以内だ。
隔日勤務は、地域的事情など特別な事情がある場合、労使協定により年6か月まで270時間に延長できる。
隔日勤務(2暦日)の拘束時間と休息期間
隔日勤務は始業と終業の日付が異なる2暦日にわたる勤務のため、日勤とは別のルールが定められている。
現行ルールでは、2暦日の拘束時間は22時間以内で、あわせて2回の隔日勤務を平均して1回あたり21時間以内に収める必要がある。
休息期間は継続24時間以上を与えるよう努めることを基本とし、22時間を下回らないこととされている。
日勤・夜日勤の1日あたりの拘束時間と休息期間
昼日勤・夜日勤の場合、1日の拘束時間は13時間以内が原則である。
延長する場合の上限は15時間で、14時間を超える回数はできるだけ少なくすること(週3回までが目安)が求められる。
休息期間は継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らないこととされている。
休憩時間の考え方
休憩時間については、労働基準法第34条で、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間を与えることが定められている。
拘束時間は労働時間と休憩時間を合わせた時間のため、休憩の長さや取り方によって実際に乗務する時間も変わる。
休憩をいつ・どこで何回に分けて取るかといった運用は会社やシフトによって異なるため、勤務体系ごとの休憩の扱いを面接などで確認しておくとよいだろう。
拘束時間・休息期間・休憩時間は、いずれも法令上の上限・下限であり、実際の勤務時間は会社の規定やシフトによって異なる。応募を検討する際は、求人票に記載された勤務時間がこの範囲内に収まっているかを確認しておくと安心だ。
出典:ハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示|自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト(厚生労働省)
4.自分に合った勤務体系の選び方
4つの勤務体系の特徴とルールを踏まえて、自分に合う働き方をどう選べばよいか、判断軸を4つ紹介する。複数の軸を組み合わせて考えると、選択肢を絞り込みやすい。
生活リズム・体力から考える
隔日勤務は1回あたりの拘束時間が長く、体力面での負担を感じやすい働き方である。
長時間の勤務でも集中力を保てるか、勤務明けにしっかり休息を取れるかを、まず自分に問いかけてみたい。
弊社の事例によると、タクシーを辞めた理由として「隔日勤務が体に合わなかった」という声があり、特に60代で目立つという。休息期間のルールが整っていても、長時間勤務そのものへの適性は人によって異なる点を意識しておきたい。
昼日勤・夜日勤は1回の拘束時間が短く、生活リズムを保ちやすい。
家庭の事情(子育て・介護など)から考える
子育てや介護など、家庭の事情で働ける時間が限られている場合は、定時制も検討する価値がある。
正社員より勤務日数が少なく設定されているため、他の予定と両立させやすい。また、昼日勤であれば夜は自宅で過ごせるため、家族との時間を確保しやすい傾向がある。
家庭の状況が変わったときに勤務体系を変更できるかどうかは会社によって対応が異なるため、事前に確認しておくと安心だ。
収入の目標から考える
効率よく収入を伸ばしたい場合は、深夜割増賃金が適用される夜日勤や、昼夜両方の需要を1回の勤務で取り込める隔日勤務が選択肢になりやすい。
一方、定時制は歩合率が低めに設定される場合があり、収入を最優先したい人には不向きなこともある。
弊社の事例では、「給料が高いから」という理由だけで転職し、長続きしなかったケースもある。
給与は上がったものの、拘束時間の長さや休みの取りづらさが合わなかったというものだ。収入の目標とあわせて、拘束時間や休日の取り方も比べて選びたい。
勤務する地域(都市部か地方か)から考える
勤務する地域によって、営業スタイルも変わる。
都市部では道路上でお客様を探す「流し営業」が中心になりやすい一方、地方ではタクシー乗り場で待つ「付け待ち」や、電話・アプリでの「無線配車」が中心になる傾向があるとされる。
「隔日勤務は昼夜両方の需要を取り込みやすい」という特徴も、流し営業が成立しやすい都市部を前提にした側面がある。
勤務予定エリアの営業スタイルを説明会や面接で確認しておくと、入社後のイメージのずれを防ぎやすい。
勤務体系や拘束時間を入社前に具体的に確認しておくことは、こうしたギャップを防ぐうえでも役立つ。応募先の勤務体系や拘束時間を具体的に確認したい場合は、転職支援サービスに相談するのも一つの方法だ。
一人で転職活動を進めるのに迷ったら、ドライバー専門の転職エージェントを頼ってみるのも一つの手だ。
ドライバー業界特有の慣習や各社の実態に詳しい専任のエージェントが、転職活動をサポートしてくれる。
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5.会社によって選べる勤務体系は異なる
ここまで4つの勤務体系を紹介してきたが、実際に選べる勤務体系は応募先の会社によって異なる。会社選びの段階で押さえておきたい注意点を整理する。
4種類すべてを用意している会社ばかりではない
すべてのタクシー会社が4種類の勤務体系を用意しているわけではない。
隔日勤務と日勤の2種類のみを採用している会社もあれば、夜日勤や定時制まで幅広く用意している会社もある。
自分に合う勤務体系のイメージができても、応募先にその選択肢がなければ、希望する働き方で入社することはできない。まずは募集要項に記載された勤務体系の種類を確認しておきたい。
応募前・面接で確認しておきたいポイント
不明な点は、会社説明会や面接の場で「どの勤務体系を選べるか」「将来的に勤務体系を変更できるか」を確認しておくとよい。ライフステージの変化に応じて働き方を見直したい場合にも、選択肢の幅は重要な判断材料になる。
弊社の事例によると、早期離職につながりやすいのは「聞いていた話と違う」というギャップだという。
給与だけでなく、残業時間や実際の拘束時間、仕事の大変さなどが入社前の説明と異なると、離職につながりやすい。
6.よくある質問
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入社してすぐに、勤務体系どおりの収入を得られますか?
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一概にはいえない。タクシーの給与は歩合給と保障給(一定期間の最低保証)を組み合わせた形が多いが、保障給には「〇か月間限定」「勤務日数〇日以上」などの適用条件がある場合が多い。
弊社の事例によると、入社後のフォロー面談では「思ったより稼げない」「保障給が入らない」という相談が多い。
土地勘や配車アプリの使い方、稼げる時間帯・エリアの把握に時間がかかり、最初の1〜2か月は稼働率が上がりにくいためだ。
応募時に保障給の期間と条件を確認しておきたい。
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定時制でも年次有給休暇はもらえますか?
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労働基準法では、パートタイム労働者等も含めて、6か月間の継続勤務と全労働日の8割以上の出勤という要件を満たした労働者に年次有給休暇を付与することが定められている。
所定労働日数が少ない場合は、日数に応じた付与(比例付与)になる。具体的な付与日数は所定労働日数や会社の規定によって異なるため、最新の情報は労働基準監督署などの公的窓口や応募先で確認してほしい。
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同じ会社なら、どの営業所でも働きやすさは同じですか?
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同じとは限らない。同じ会社でも営業所によって所長や配車担当、教育担当が異なるため、雰囲気や働きやすさが変わるケースがある。
弊社の事例でも、こうした営業所ごとの違いは実際に見られるという。配属予定の営業所の雰囲気を事前に聞いておくと、入社後のギャップを減らしやすい。
ただし、それでも実際とのずれを完全に防ぐのは難しい点は理解しておきたい。
7.まとめ:4種類の勤務体系から生活に合う働き方を選ぼう
タクシーの勤務体系は隔日勤務だけではなく、生活スタイルに合わせて選べる4つの種類がある。この記事のポイントは次の3つだ。
- 勤務体系は昼日勤・夜日勤・隔日勤務・定時制の4種類
- 拘束時間・休息期間は2024年4月改正後の現行ルールで確認する
- 生活リズム・家庭の事情・収入目標で選び、選べる勤務体系は応募前に確かめる



違いを知っておけば、求人選びで迷いにくくなる。焦らず、自分の暮らしに合う働き方を選んでほしい。








