タクシーの隔日勤務がきつい理由とは?仮眠・明け番の乗り越え方

タクシーの隔日勤務がきつい理由とは?仮眠・明け番の乗り越え方

タクシー運転手への転職を考え始めると、多くの求人で目にするのが「隔日勤務」という働き方だ。

1回の勤務で20時間前後拘束されると聞けば、「体力的に続けられるのか」「なぜきついと言われるのか」と不安になるのも自然な話だろう。

この記事では、タクシーの隔日勤務がきついと言われる理由を整理したうえで、仮眠・睡眠・明け番の過ごし方や休みの実態、きつさを乗り越えるための工夫まで具体的に解説する。

きついのは事実。でも、何がどうきついのかがわかれば、備え方も見えてくる。

この記事を読んでわかること
  • 隔日勤務がきついと言われる3つの理由
  • 仮眠・睡眠・明け番の過ごし方の実態と工夫
  • 休みの実態と、きつさを乗り越えるためのポイント

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目次

1.タクシーの隔日勤務とは?基本の仕組みとスケジュール

まずは、隔日勤務がどのような働き方なのかを押さえておこう。出番・明け番・公休のサイクル、シフトの一例、日勤・夜勤との違いを順に見ていく。

隔日勤務の基本的な流れ(出番・明け番・公休のサイクル)

隔日勤務とは、1回の勤務で朝から翌日の深夜・早朝まで働き、勤務明けのその日は乗務をしないタクシー業界特有の働き方だ。

勤務日は業界用語で「出番」、出番の翌日は「明け番」と呼ばれる。これに月数日の「公休」が組み合わさり、1か月のサイクルが構成されている。

1回の勤務は長時間だが、その分出勤回数は少なく、月の出勤日数は11〜13日程度が一般的だ。

月に20日前後出勤することが多い一般的な会社員と比べると、出勤日数そのものはかなり少なくなる。

隔日勤務のシフト例

隔日勤務は「出番→明け番」を繰り返し、その間に公休が入るのが基本の形だ。1週間のシフトの一例を示すと、以下のようになる(出番・公休の並び方は会社や月によって異なる)。

曜日勤務内容
月出番朝に出庫し、翌日の深夜・早朝まで乗務
火明け番帰庫・帰宅後は乗務なし
水出番朝に出庫し、翌日の深夜・早朝まで乗務
木明け番帰庫・帰宅後は乗務なし
金出番朝に出庫し、翌日の深夜・早朝まで乗務
土明け番帰庫・帰宅後は乗務なし
日公休終日休み

1回あたりの拘束時間には改善基準告示による上限があり(詳しくは「7.拘束時間などのルールについて」で紹介)、拘束時間には休憩時間も含まれる。

出庫・帰庫の時刻や、複数の出庫パターンから選べるかどうかは会社によって異なるため、入社前に確認しておくと生活とのすり合わせがしやすい。

日勤・夜勤との違い

タクシー運転手の勤務形態には、隔日勤務のほかに日勤と夜勤がある。日勤は朝から夕方までの勤務で、一般的な会社員に近い生活リズムを保ちやすい。

夜勤は夕方から翌朝までの勤務で、深夜の割増料金を活かしやすい一方、生活が夜型になりやすい。

隔日勤務は、この昼と夜の両方の時間帯を1回の勤務でカバーする働き方だ。

通勤ラッシュ、日中のビジネス利用、夜の繁華街、深夜の割増料金と幅広い需要に対応できる反面、1回あたりの拘束時間は長くなる。

いいとこ取りには、それなりの負担がついてくるということだ。

2.タクシーの隔日勤務が「きつい」と言われる理由

隔日勤務が「きつい」と言われる理由は、大きく3つに整理できる。拘束時間の長さ、生活リズムの崩れやすさ、そして乗務中の眠気や体調の変化だ。

1回の拘束時間が長い

隔日勤務がきついと言われる最大の理由は、1回あたりの拘束時間の長さだ。

朝から翌日の深夜まで、20時間前後にわたって会社に拘束される勤務は、一般的な仕事の1日の労働時間を大きく上回る。慣れるまでは、体力的な負担を強く感じる人も少なくない。

長時間にわたって運転を続け、乗客を安全に目的地まで送り届ける緊張感を保ち続けることは、体力面だけでなく精神面でも負担になる。

特に転職して間もない時期は、道を覚えることや接客にも気を使うため、通常以上に疲れを感じやすい。

昼夜をまたぐことで生活リズムが崩れやすい

隔日勤務では、出番の日は朝から深夜まで起きて働き続けることになる。この働き方を繰り返すと、体内時計が本来のリズムからずれやすくなる。

人の体は基本的に日中に活動し、夜間に休息を取るようにできている。

このリズムが崩れると、慢性的な寝不足や食生活の乱れにつながりやすい。

特に勤務を始めたばかりの時期は規則正しい生活を保つことが難しく、これが「きつい」と感じる大きな要因の一つになっている。

乗務中に眠気や体調の変化が起きやすい

深夜から早朝にかけては、体内時計の影響で強い眠気が訪れやすい時間帯だ。長時間の乗務も後半になるほど、集中力を保つことが難しくなる場面が出てくる。

また、乗務中は食事のタイミングが限られるため、空腹のまま運転を続けたり、慌ただしく食事を済ませたりして体調を崩しやすいという声もある。

長時間座り続けることによる腰や肩への負担、足のむくみも、隔日勤務ならではの負担として挙げられる。

3.隔日勤務のきつさ①長時間労働と睡眠不足の実態

ここからは、きつさの中身をもう一歩踏み込んで見ていく。まずは、長い拘束時間の中で休憩や仮眠がどう使われているのか、そして慣れるまでに体がどう変化するのかを整理する。

拘束時間の中の休憩・仮眠時間はどう使われているか

「拘束時間」とは、労働時間と休憩時間を合わせた時間のことだ。隔日勤務の長い拘束時間の中には休憩時間が含まれており、その使い方が負担の感じ方を大きく左右する。

休憩・仮眠のタイミングは運転手の判断に委ねられることが多い

休憩時間の使い方は、運転手自身の判断に委ねられている場合が多い。

眠気を感じたタイミングで車を停め、短時間の仮眠を取るという使い方が広く見られる。

20〜30分程度の短い仮眠でも、後半の集中力を保つうえで一定の効果が期待できるとされている。

1回にまとめず複数回に分けて取ることも多く、営業状況や体調に合わせて調整できる点は、隔日勤務ならではの柔軟さともいえる。

仮眠室・シャワー設備の有無は会社によって差がある

営業所に仮眠室やシャワー設備を備えている会社もあり、こうした設備をどの程度活用できるかは会社によって差がある。

転職を検討する際は、仮眠室の有無や休憩の取りやすさを、求人票の記載や面接の場で確認しておくとよいだろう。

慣れるまでの体の変化

隔日勤務を始めたばかりの時期は、体が新しい生活リズムに慣れていないため、負担を強く感じやすい。慣れるまでの期間の目安と、その時期に重なりやすい不安を見ていこう。

慣れるまでの目安は1〜3か月程度

始めたばかりの時期は、昼夜が逆転したような生活に体がついていかず、明け番の日に寝すぎたり、逆になかなか寝付けなかったりすることも珍しくない。

この時期の長さには個人差があるが、1〜3か月程度で自分なりのリズムをつかんでいく人が多いとされている。

最初からうまくいかないことを前提に「慣れるまでの期間」と捉え、体調と相談しながら少しずつ自分に合った生活リズムを見つけていく姿勢が大切だ。

慣れる時期は収入面の不安も重なりやすい

弊社の転職支援担当者へのアンケートによると、タクシー会社への転職後のフォロー面談では「思った以上に稼げない」「保障給が入らない」という相談が多く寄せられている。

入社直後は土地勘や配車アプリの使い方、稼げる時間帯・エリアの把握に時間がかかり、最初の1〜2か月は稼働率が上がりにくいためだ。

体が隔日勤務に慣れるまでの時期と、収入が安定しにくい時期は重なりやすい。

保障給には「一定期間に限る」「所定の勤務日数を満たす」といった適用条件が付くケースも多いため、入社前に条件を確認しておくと、体力面と収入面の不安が同時に押し寄せる事態を避けやすくなる。

4.隔日勤務のきつさ②明け番・休みの過ごし方

隔日勤務のきつさは、勤務中だけでなく休みの過ごし方にも左右される。ここでは、明け番の過ごし方と、明け番・公休を組み合わせた休みの実態を整理する。

明け番の日をどう過ごすかが翌勤務を左右する

深夜まで勤務した翌日である「明け番」は、隔日勤務の中でも特に過ごし方が重要な1日だ。帰宅後すぐには寝付けない、逆に寝すぎて夜眠れなくなるといった悩みを抱える人も少なくない。

明け番の過ごし方に決まった正解はない。帰宅後すぐに仮眠を取ってから活動する人もいれば、あえて仮眠を取らずに通常の就寝時間まで起きておく人もいるなど、個人差が大きい部分だ。

自分の体質や生活スタイルに合った過ごし方を、無理のない範囲で早めに見つけておくことが、次の出番を良い状態で迎えるためのポイントになる。

明け番と公休を組み合わせた休み方の実態

隔日勤務の休みは、日数だけを見ると多く感じられるが、その中身は明け番と公休の組み合わせで成り立っている。休みの作り方と使い方、あわせて押さえたい点を見ていこう。

明け番と公休の組み合わせでまとまった休みを作りやすい

月の出勤日数が11〜13日程度になる分、明け番と公休を組み合わせることで、まとまった休みを作りやすい。

たとえば出番の翌日が明け番、そのまた翌日が公休というシフトなら、実質的に2日続けて休める形になる。公休が連続する組み方であれば、3連休前後の休みを作れる場合もあるとされる。

休みの「日数」だけでなく「使い方」も意識する

明け番は深夜勤務明けの日であるため、公休と同じ感覚で自由に使える日とは限らない。

休みの「日数」だけでなく、その休みを体力の回復に充てるのか、プライベートの予定に充てるのかという「使い方」まで意識しておくと、休みの実態を現実的にイメージしやすくなる。

通勤回数が減るという側面もある

出勤が月11〜13回程度に減ることで、通勤にかかる時間や労力が浮くという側面もある。

通勤時間が長い人ほどその差は大きく、浮いた時間を休息やプライベートに回しやすい。

入社前には、明け番・公休の組み方にどの程度融通が利くか、有給休暇と組み合わせて長めの休みを取りやすいかも確認しておくと安心だ。

休みの組み方や仮眠室の有無など、求人票だけではわかりにくい条件を入社前に確かめたい人は、転職支援サービスで相談してみるのも一つの方法だ。

一人で転職活動を進めるのに迷ったら、ドライバー専門の転職エージェントを頼ってみるのも一つの手だ。

ドライバー業界特有の慣習や各社の実態に詳しい専任のエージェントが、転職活動をサポートしてくれる。

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5.隔日勤務のきつさを乗り越えるコツ

隔日勤務のきつさは、工夫次第で和らげられる部分も多い。ここでは、仮眠・睡眠・食事の具体的な工夫と、長く続けるためのポイントを紹介する。

仮眠・睡眠の取り方の工夫

隔日勤務のきつさを和らげるうえで、仮眠と睡眠の質を高める工夫は欠かせない。勤務中・帰宅後・食事の3つの場面に分けて見ていこう。

勤務中は眠気を感じたら無理をせず仮眠を取る

勤務中は、眠気を感じたタイミングで無理をせず、短時間でも仮眠を取ることが基本になる。

深い眠りにこだわりすぎず、まず横になって体を休めるという意識を持つだけでも、疲労の回復度合いは変わってくるはずだ。

帰宅後の睡眠環境を整える

明け番や帰宅後の睡眠環境を整えることも重要だ。

遮光カーテンで部屋を暗くする、耳栓などで周囲の音を遮る、室温を快適に保つといった工夫は、多くの運転手が実践している対策として挙げられる。

就寝前のスマートフォンやテレビの使用を控えることも、寝つきをよくするうえで役立つとされている。

食事は消化のよい軽食をこまめに取る

食事の面では、消化のよい軽食をこまめに取り、空腹や食べすぎを避けることが体調管理の一助になる。

乗務中に食事のタイミングを逃しやすい人は、手軽に食べられるものをあらかじめ用意しておくとよいだろう。

弊社の転職支援担当者へのアンケートにみる、長く続けるためのポイント

同アンケートによると、タクシー会社へ転職した人から「転職してよかった」と聞かれる声には、「家族との時間が増えた」「休みが取りやすくなった」「無理な運行がなくなった」といった内容が多い。

まとまった休みを生活にうまく取り込めるかどうかは、隔日勤務を続けるうえでも大切な視点になる。

一方で、給与の高さだけを理由に転職し、「拘束時間が長い」「休みが取りづらい」など給与以外の部分が合わずに長続きしなかったケースもある。

定着しやすいのは入社前に聞いていた条件と入社後の実態のギャップが少ない会社だ。

仮眠や明け番の工夫とあわせて、拘束時間や休みの取り方を入社前に確かめておくことが、隔日勤務を長く続けるための現実的な備えになる。

6.隔日勤務に向いている人・向いていない人

隔日勤務のきつさをどう感じるかは、人によって大きく異なる。向いている人と向いていない人の特徴を、それぞれ簡潔に整理する。

隔日勤務に向いている人

隔日勤務に向いているのは、自己管理能力が高く、勤務中の休憩や体調管理を自分のペースで調整できる人だ。

まとまった休みを趣味や家族との時間、副業などに充てたい人にとっても相性のよい働き方といえる。

運転そのものが好きな人や、一人で黙々と仕事を進める時間が長いことから、人間関係のわずらわしさをあまり感じずに働きたい人にも合いやすい。

隔日勤務に向いていない人

毎日決まった時間に規則正しく働きたい人や、短時間の勤務をこつこつ積み重ねたい人には、1回の拘束時間が長い隔日勤務は合いにくい面があるかもしれない。

持病があるなど体調管理に特に注意が必要な場合も、事前に体力面と照らし合わせておきたい。

不安がある場合は、まず日勤から始め、様子を見て隔日勤務への切り替えを検討する方法もある。

勤務形態を途中で変更できるかどうかは会社によって異なるため、入社前に確認しておくと安心だ。

7.拘束時間などのルールについて

隔日勤務の拘束時間や休息期間は、厚生労働大臣告示である「改善基準告示」(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)で上限などが定められている。

2024年4月1日以降に適用されている、隔日勤務に関する主な基準は以下のとおりだ。

項目隔日勤務の基準(2024年4月1日以降)
2暦日の拘束時間22時間以内、かつ2回の隔日勤務を平均して1回あたり21時間以内
休息期間勤務終了後、継続24時間与えるよう努めることを基本とし、22時間を下回らない
1か月の拘束時間262時間以内(地域的その他特別な事情がある場合、労使協定により年6回まで270時間まで延長可)

出典:厚生労働省「ハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示」

本記事では概要の紹介にとどめるが、隔日勤務は無制限に働かせてよい働き方ではなく、休息期間の確保を前提としたルールのもとで運用されているという点を押さえておけば十分だろう。

拘束時間や休息期間のルール、賃金の考え方まで詳しく知りたい人は、こちらの記事もあわせて読んでみてほしい。

8.タクシー隔日勤務のきつさに関するよくある質問

60代からでもタクシーの隔日勤務はできますか?

年齢だけで一律に判断できるものではないが、弊社の転職支援担当者へのアンケートによると、タクシー運転手の離職理由として「隔日勤務が体に合わなかった」という声が多く、特に60代でその傾向が見られる。

体力面に不安がある場合は、日勤から始められるか、入社後に勤務形態を変更できるかを事前に確認しておくと安心だ。

隔日勤務は「意外と楽」という声もあるのは本当ですか?

楽と感じるかどうかは人によって異なる。出勤日数が月11〜13日程度と少なく、明け番と公休を組み合わせてまとまった休みを作りやすいことから、生活とのバランスが取りやすいと感じる人もいる。

一方で、1回の拘束時間は長く、慣れるまでは負担を強く感じやすい。「きつさ」と「休みの多さ」の両面を理解したうえで、自分に合うかどうかを判断したい。

9.まとめ|きつさの中身を知れば、隔日勤務は備えられる

タクシーの隔日勤務がきついと言われる背景には、拘束時間の長さに加えて、昼夜をまたぐ生活リズムの変化や、明け番・休みの過ごし方に慣れるまでの過渡期がある。この記事のポイントは次の3つだ。

  • きつさの正体は「長い拘束時間」「生活リズムの乱れ」「乗務中の眠気・体調の変化」の3つ
  • 仮眠の取り方と明け番の過ごし方、明け番・公休を組み合わせた休みの使い方が体感の負担を左右する
  • 慣れるまでの目安は1〜3か月程度。仮眠室や保障給の条件など、入社前の確認でギャップを減らせる

きつさは事実でも、中身を知って備えれば向き合い方は見えてくる。焦らず、自分のペースで隔日勤務との付き合い方を見つけていこう。

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